朝の庭

 

午前四時三十分。

眠れぬ夜は朝に繫がり、黒い窓が薄くぼんやりと蒼くなっていくのを見ている。

蒼白い四角とそれを縁取る黒い太い線。

まるで松本竣介の画のような窓だ。

 

 

 

 

何かが立ち現われてくる瞬間、それが刻々と消えていく瞬間。

まだ人の気配が混じっていない空気の中を移動する粒子。

鳥と僕だけがこの庭を見ている。

わずか三坪の森の中でそっと気配を消すように静観した。

 

 

 

 

 

午前五時三十分。

今これを書いている部屋の窓はもう松本竣介ではない。

遠くに車のエンジン音も聞こえ始めた。

いつもと変わらない見慣れた朝の庭をそっと見て、ラジオをつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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