朝の庭
2018.04.30 Monday 05:57
午前四時三十分。
眠れぬ夜は朝に繫がり、黒い窓が薄くぼんやりと蒼くなっていくのを見ている。
蒼白い四角とそれを縁取る黒い太い線。
まるで松本竣介の画のような窓だ。
何かが立ち現われてくる瞬間、それが刻々と消えていく瞬間。
まだ人の気配が混じっていない空気の中を移動する粒子。
鳥と僕だけがこの庭を見ている。
わずか三坪の森の中でそっと気配を消すように静観した。
午前五時三十分。
今これを書いている部屋の窓はもう松本竣介ではない。
遠くに車のエンジン音も聞こえ始めた。
いつもと変わらない見慣れた朝の庭をそっと見て、ラジオをつけた。
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