冬鳥


庭にジョウビタキが姿を見せると、冬の訪れを思う。
暦の上では11月8日頃が立冬なので、まだ一週間ほど早いのだけれど
僕はこの鳥を見ると冬の始まりを実感する。

そしていよいよ冬が深まってくるとメジロがやってくる。





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御礼


原宿のスタイルハグギャラリーでの個展は本日で終了いたしました。
お越しいただきました皆様、ありがとうございました。

今回の展示では燈台や帆船、小屋や人物を主なモチーフに選びました。
荒涼とした大地に生きる人々の、自然の猛威に晒されながらも
心に絶えず燈を携えて、日々の営みを粛々と行っている姿。
そのような精神性を自分に問いながらの制作となりました。
全ての作品において、満足のいく時間が持てた訳ではなく
光が見え始めるまでの闇の時間が今回は長く、気持ちも焦りながらも
じっとしがみつきながらの制作でした。
計画的に時間割を組み、それ通りに作れれば何も問題ありませんが
そうして作ったものはどこか魅力がなく、新鮮味が感じられないので
敢えてそこから外れ、混沌に向います。
羅針盤の利かない荒波を、ぐるぐると同じ場所を廻り続けながら
這いずるようにしてでも光を得たいと僅かな明るみに向って木を彫りました。

木を彫っていると迷うことが本当に多いです。
どこを彫ったらもっと良くなるのか、どこで終わりなのか、分かりません。
分からないけれど、決断はしなくてはいけない。
たとえその決断が間違っていて、結果的に美しいものにならなかったとしても
ひとつひとつ決断していく。
そのことが今の僕にとっては少しでも前進するために大事で
それを何回も何回も重ねながら無意識のレベルまで染み込ませていくこと。
それが大事ではないかと今回の制作で感じました。


今年の個展はこれで終了となり、年内はいくつかのグループ展に装身具を出品します。
また来年の展示会でもどうぞよろしくお願いいたします。





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展示のおしらせ

個展 「燈」

日時:2015.10.24(土)〜10.29(木) 11:00〜18:00
場所:Style-Hug Gallery 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-59-8 原宿第2コーポ208
在廊:24(土)



何処から来て、何処へ向かうのか。
鮮明ではないけれど、靄の中のぼんやりとした明るみに向って
僕は木を彫っている。





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天文航法


航海術の一つに天文航法というものがあるらしい。
太陽の位置や、夜空に見える星の位置から船の現在地を知る方法で
古代の航海士は天体観測を基にこれから行く先の航路を決めていた。
GPSの登場により主流ではなくなったが、今でも非常手段として使われている。







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燈台
photo : vincent desjarduns


今月の展示のメインとなる灯台を彫っている。
僕は動物をモチーフに選ぶ事が多いのだけれど
建築物をモチーフにするのも好きで、過去にも礼拝堂や小屋を彫ってきた。
簡素で必要最小限の造形と、どこか寂しげな佇まいから漂う清貧さ。
共通して惹かれる魅力はそういったところにあって
その土地から採れる素材を使い、その環境に適した在り方を考え
ブリコラージュのように作られた働く建築物からは
人間と自然が共生する姿を感じるからだ。

上の写真はフランスのノルマンディーに建つ灯台。
フランスの大西洋側には美しい灯台がいくつも残っていて
荒々しい波と灰色の空の中に真っ直ぐ、ぽつねんと佇む姿に何とも言えない情感を覚える。



photo : Falken


1960年代のブルターニュの島にある灯台(Jument)を舞台にした
フランス映画「灯台守の恋」を制作の合間に観た。
風景を参考にしようと映像だけを目当てに鑑賞していたのだけれど
灯台守という仕事も興味深く、空き時間を使ってシェーカーチェアを作る男など
そこに描かれた人々も魅力的でいつの間にか引き込まれてしまった。
いい映画だった。







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