solo exhibition @ 空とたね(香川)----- 2019.11.23 - 12.01
浮遊


8月が終わりに向かう頃、海岸に流木を拾いに行った。

展示会が始まる二週間ほど前のこの時期に

流木を拾いに行くことなんて今までにはない。

この日は朝からアトリエで制作を始めたのだが

気持ちがざわざわとして落ち着かず身体も妙に軽すぎて

借物の身体を使っているみたいで木を彫ることに集中できずにいた。

そういえば少し前に台風が来ていた。

もしかしたら海岸にいいものが落ちているかもしれない。

そう思い立ったらもう動かずにはいられなかった。

車に乗って高速道路を風のように走って海に出た。



海岸には無数の流木が打ち上げられていた。

自分より大きな木も横たわっている。

とても持ち上げられるような重さではないその大きな存在に近づいて

漂泊の長い長い道程をその木肌から想うと

波の音も消えて、時間の流れから逸脱し

何処か知っているようで知らない場所を浮遊するような感覚になる。

この感覚が僕は好きだ。

自分が人間であり生命体であることの自覚と

到底計り知ることのできない大きな存在を想うこと。

きっとこの当たり前の感覚に触れる為に流木を拾いに来たのだろう。

制作の渦の中に呑み込まれていた身体をここまで運んできて良かった。

分離していたものが再び繋がったような気がした。



目に留まったいくつかの流木を持ち帰って洗い

その一つで鯨を作ることにした。

計り知れない大きな存在。

死と再生の象徴。

雄大な時間の海を泳ぐ者。

この流木と鯨の存在が僕の中でつながっていった。



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今、この鯨は伊豆にあるギャラリーnoirの黒い空間を泳いでいる。

どうかご覧いただきたい。





二人展「浮遊/vol.2」


日時:2019.9.07(土)〜9.22(日) 11:00〜17:00 木曜休み

場所:ギャラリーnoir/NOKTA 静岡県伊豆の国市中750-1

作家:ナカオタカシ・クロヌマタカトシ






















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